Javaの同期処理|synchronizedキーワードの使い方

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Javaのsynchronized、使いこなせてる?スレッドセーフなコードを書くための必須知識をわかりやすく解説!

Javaの同期処理とは?synchronizedキーワードの基本

Javaにおける同期処理は、複数のスレッドが共有リソースにアクセスする際に、データの整合性を保つために不可欠な概念です。特に、複数のスレッドが同時に同じ変数やオブジェクトの状態を変更しようとすると、予期せぬ結果が生じる可能性があります。この問題を解決するために、Javaではsynchronizedキーワードが提供されています。

synchronizedキーワードは、メソッドまたはコードブロックに適用でき、一度に一つのスレッドだけがその領域を実行できるように制御します。これにより、競合状態(race condition)を防ぎ、スレッドセーフなプログラムを構築できます。

同期処理を理解することは、マルチスレッドプログラミングにおける基礎であり、パフォーマンスと安全性のバランスを考慮した設計を行う上で重要です。

synchronizedキーワードの使い方:メソッドの同期

メソッド全体を同期化する場合、synchronizedキーワードをメソッドの宣言に付与します。これにより、そのメソッドにアクセスできるスレッドは常に一つだけになります。

public synchronized void incrementCounter() {
    counter++;
}

上記の例では、incrementCounterメソッドは同期化されています。複数のスレッドが同時にこのメソッドを呼び出そうとしても、一つのスレッドがメソッドの実行を終えるまで、他のスレッドは待機します。これにより、counter変数のインクリメント処理が安全に行われます。

synchronizedキーワードの使い方:ブロックの同期

メソッド全体ではなく、特定のコードブロックのみを同期化したい場合は、synchronizedブロックを使用します。synchronizedブロックは、特定のオブジェクトをロックとして使用し、そのオブジェクトのロックを取得したスレッドだけがブロック内のコードを実行できます。

public void updateResource(Resource resource) {
    synchronized (resource) {
        // resourceオブジェクトに対する排他的な操作
        resource.setValue(newValue);
    }
}

この例では、resourceオブジェクトがロックとして使用されています。updateResourceメソッドが複数のスレッドから呼び出された場合でも、同じresourceオブジェクトに対する操作は、一度に一つのスレッドによってのみ実行されます。別のresourceオブジェクトを使用する場合は、ロックが異なるため、並行して実行される可能性があります。

synchronizedブロックを使用する際は、ロック対象となるオブジェクトの選択が重要です。共通のオブジェクトをロックとして使用することで、関連する処理をまとめて同期化できます。

synchronizedキーワードの注意点とベストプラクティス

synchronizedキーワードは、簡単にスレッドセーフなコードを実現できる強力なツールですが、いくつかの注意点があります。

1. パフォーマンス: synchronizedは、スレッドの待機を引き起こすため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。同期化の範囲を最小限に抑え、本当に必要な箇所のみに適用することが重要です。

2. デッドロック: 複数のスレッドが互いに相手が解放するロックを待っている状態をデッドロックと呼びます。synchronizedを使用する際は、ロックの取得順序を一定にするなど、デッドロックが発生しないように注意する必要があります。

3. 過剰な同期化: 必要以上に同期化を行うと、並行処理のメリットが失われ、プログラム全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。

ベストプラクティス:

* 同期化の範囲を必要最小限にする。

* ロックの取得順序を一定にする。

* 可能な限り、より高度な並行処理API(java.util.concurrentパッケージなど)の利用を検討する。

参考リンク

まとめ

synchronizedキーワードは、Javaでスレッドセーフなプログラムを記述するための基本的なツールです。メソッドまたはコードブロックを同期化することで、複数のスレッドが共有リソースに安全にアクセスできるようになります。ただし、パフォーマンスへの影響やデッドロックのリスクも考慮し、適切な設計と実装を行うことが重要です。マルチスレッドプログラミングにおいては、synchronizedだけでなく、より高度な並行処理APIの知識も習得することで、より効率的で安全なプログラムを開発することができます。